新潮社文庫
久しぶりに恩田陸作品。
時を越え、空間を越え、結ばれることはない関係だけど、
何度も何度も出逢い、別れの時を迎える。
神の意思なのか。
宇宙の奇跡なのか。
夢の中でその存在を意識し、
出会った瞬間に運命を感じ、
煌めくその一瞬のために何度もこの世に生を授けられているのではないかとさえ思える。
別作品、灰の劇場での対談の中で、
恩田氏の作品は小説タイトルが先に浮かび、執筆作業に入ると対談で語っておられた。
この作品もまさにそうであったらしい。
イギリスのミュージシャン、ケイトブッシュのアルバムタイトル。
このタイトルを脳裏にストックしていたある日。
東京都美術館で出会った一枚の絵が、
エアハート嬢の到着
と言う作品であった。
著者の頭に、まさに雷鳴が響き渡ったのではないだろうか。
あ〜、そんな瞬間を、そんな興奮を、
私も味わってみたい。
読書を進めるうちに、
以前に読んだことがあるような気がしてきた。
不思議な気持ちで読み進める。
イヴァンチッツェの思い出の章での
エリザベスとエドワードの再会の場面。
既視感が込み上げる。
が確信はない。
よりによって、この作品に対して感じるデジャブ。
だから、今度こそ忘れないように記しておこうと思う。
2022年1月5日読了。